KUMIKO UEDA playwright - director

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団体設立のお知らせ

2024

上田久美子は、批評性のあるテーマを、面白く魅力的な方法で表現するような、前衛的な作品とエンタテイメントの中間に位置する作品作りを目指しています。同時代の問題を深く問いかけるパフォーマンスを、少しでも幅広い人びとに日常的な遊びの場所として安価に届けられるよう、演劇文化の享受のされ方を開拓していこうとしています。

その制作の基盤として、任意団体projectumïを2024年1月に設立しました。これは俳優が所属する劇団ではなく、上田久美子の活動の運営業務を行うための団体となっています。projectumïという団体に主張があるわけではなく団体名にも意味を持たせていない無色透明なものです。

今後とも上田久美子とprojectumïをよろしくお願いいたします。


◾️ステートメント

昔、ある砂漠の街の夜道で見知らぬ人に殺されそうになった。生死の境界という根源的な空間に入ることで、そういえば自分が生きていたことを思い出した。どうにか難を逃れた後の日常は、列車に揺られながらガラス越しにぼんやり眺める光景のようなものから変化して、列車から放り出されて炎天下に身を晒して歩くようなくっきりした体験になった。葉の緑は、緑とはまだ名づけ得ない色で、食べ物の味は複雑で、性欲が戻ってきた。

私は劇場に、こんな力を求めたい。(安全に!)

拡大再生産を続ける社会で常に目的にむかって駆り立てられて、いろいろな感覚を感じないことにして生きている私たちが、目的的時間から抜け出す根源的な空間への通路を、探していきたい。

将来的には、故郷の奈良に代表されるような、演劇の土壌があまりない各地方で、作品のほうから人々にアクセスしていける方法を開拓したい。


◾️創作現場におけるハラスメント防止の取り組み

上田久美子および、上田久美子に関わる作品を企画・運営する団体projectuïでは、創作現場におけるハラスメントの防止に、下記の方法で取り組んでいます。

上田久美子は、演出家を頂点とした舞台創作現場のヒエラルキーのありかたを見直し、アーティストが対等な関係のもと尊重しあい、安全に協働できる創作方法を探求していきます。

環境整備のため、有資格者によるハラスメント相談窓口を設け、2024年度のプロジェクトでは、専門知識を持つアーティストがオブザーバーの役割を担い、稽古などでハラスメントが疑われる行為が起きた際に指摘します。

芸術や文化の名のもと個人の尊厳が傷つくことのない環境で、より価値ある創作を目指していくことを、上田久美子および団体projectumïは決意しています。