KUMIKO UEDA playwright - director

works
全国共同制作オペラ

道化師 / 田舎騎士道

2023  オペラ

9世紀イタリアオペラを、貧困化の進む現代日本の街に重ねた新演出オペラ。
イタリアの寒しい民衆を演じる歌手と、今の日本のどこかの誰かを踊るダンサーの二人一役で、イタリアオペラの世界と現代日本の陰の世界が同時に舞台に出現する。

指揮:アッシャー・フィッシュ
演出/関西弁飜案字幕:上田久美子
会場1/東京芸術劇場コンサートホール(2023/2/3、2023/2/5)
会場2/愛知県芸術劇場大ホール(2023/3/3、2023/3/5)


この2つのオペラは、資本主義が加速し貧富の差が広がりすぎたイタリアで誕生した。当時は自然主義が勃興し、それまで題材になり得なかった名もなき貧しい農民のリアルを提示し、衝撃を与えるヴェリズモ(自然主義)オペラが流行した。
しかし、どうすれば現代日本の観客に、現実という衝撃を与えることができるだろうか?格差が広がる現代日本と、当時のイタリアの状況は酷似している。
この2つのヴェリズモ作品に共通する私のテーマは、現実の貧困と孤独だ。
『田舎騎士道』では、日本の地方に住む男女が、覚せい剤を売買し、家庭内暴力に陥り、恋愛関係に依存し、小さな共同体で煮詰まった人間関係から殺人に及ぶ。
この物語を表現するのは、歌手の分身として日本の現代人を演じるダンサーたちである。歌い手と踊り手という2人の人間が1つの役を演じるスタイルは、文楽にインスパイアされている。
『道化師』は旅一座の物語だ。この物語には、メタ・オペラのコンセプトがある。ラストシーンで殺人を犯すのは歌手である。物語の進行につれて感情が揺さぶられ、歌手たちはルールを無視しダンサーとの調和を破り、観客と地続きの世界で殺人を犯す。
このオペラは現実の続きでもある。
舞台には路上生活者が彷徨い、観客が劇場を出るときに物乞いをする。

歌手(田舎騎士道):アントネッロ・パロンビ、テレサ・ロマーノ、鳥木弥生、三戸大介、森山京子
歌手(道化師):アントネッロ・パロンビ、柴田紗貴子、清水勇磨、中井亮一、高橋洋介
ダンサー(田舎騎士道):柳本雅寛、三東瑠璃、高原伸子、宮河愛一郎、ケイタケイ
ダンサー(道化師):三井聡、蘭乃はな、小浦一優、村岡友憲、森川次朗
ダンサー(両演目):やまだしげき、川村美紀子
管弦楽:読売日本交響楽団/中部フィルハーモニー交響楽団
合唱:ザ・オペラ・クワイア/愛知県芸術劇場合唱団
児童合唱;世田谷ジュニア合唱団/名古屋少年少女合唱団

振付監修:前田清実(田舎騎士道)、柳本雅寛(田舎騎士道)、麻咲梨乃(道化師)
合唱指揮:辻博之
コレペティトワ:岩渕慶子
擬闘:栗原直樹
衣装:藤谷香子(FAIFAI)
衣装協力:花柳劇団
美術監修:大橋泰弘
美術:上田久美子
美術コーディネーター:中村友美
照明:高田政義(Ryu)
映像:山田晋平
音響:石丸耕一
ヘアメイク:Julia
舞台監督:酒井健
演出助手:喜多健司
振付助手:中谷薫(田舎騎士道)、舩山千賀子(田舎騎士道)、森川次朗(道化師)
プロダクションマネージャー:關秀哉

公演公式サイト:
https://www.geigeki.jp/performance/concert255/
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000728.html

記事:
https://www.asahi.com/articles/DA3S15557664.html
https://www.chunichi.co.jp/article/682719

    

photos by 2/FaithCompany

 

photos by matron2022