呼吸にまつわるトレーニングプール -皇居のお堀編-
日比谷公園にて開催される、Park×Art 日比谷から始まる新しい公園のかたち「Hibiya Art Park2025 -訪れるたび、アートと出会う1ヶ月‐ 」(主催:東京都)の第2期プログラム「“Play”ing Catch -集まり方の練習‐ 」にて、上田久美子+miu+川村美紀子『呼吸にまつわるトレーニングプール -皇居のお堀編- 』を実施します。

「呼吸=プネウマ」をとおして、動植物とヒトの呼吸が溶け合い浸透し合う世界を想像するプロジェクト・プネウマの初めての野外バージョンが、皇居のお堀ばたで誕生します。2024年の夏に城崎国際アートセンターで立ち上げた市民参加型プロジェクトの、ワーク・イン・プログレスです。
公募で集まった参加者(出演)は、朝の日比谷公園の林や丘を、アーティストのmiuと川村美紀子のナビゲーション・ツアーで巡り、「人間ではない小さな生き物」として呼吸をし、空想し、漂う練習をします。そしてツアーのラストには、シェイクスピア『ハムレット』のオフィーリアの溺死の場面で水中に漂う小さな生き物を演じます。
もう一方の参加者(鑑賞)は、普段は見えていないはずのその小さな生き物たちの様子を、公園内を散策する「人間」になりきり、こっそりと観察してください。
最近、気になっています。どうしてほとんどの戯曲には、人間の登場人物しか出てこないんだろう?劇場の中には、人間の時間しか流れていないんだろうか?
シェークスピアのハムレットというお芝居をご存知でしょうか?デンマーク王子ハムレットの恋人だったオフィーリアが心傷つき小川で死んでしまうピソードは、悲しく美しいイメージによって、17世紀以来たくさんの観客の涙を誘い、有名な絵画にも描かれてきました。
気になってしまいます。オフィーリアが落っこちた小川の中の、水草や魚やバクテリアには、美しい死の場面はどんなふうに感じられるんだろう?
もしかして、こわい?もしかして、ご馳走が落ちてきて嬉しい?「呼吸」と「音」を手がかりに、人間以外の存在の感覚がどんな感じか、妄想、空想しているうちに、それが姿勢や、動きを変えてくれるかもしれません。皆さんはオフィーリアの死の場面に登場する、人間ではない出演者になって、日比谷公園の地形を活かした「舞台」の上で、呼吸をし、ゆらめき、空想をします。
「呼吸にまつわるトレーニングプール」は、⽣物たちとヒトが「呼吸=プネウマ」の溶け合った⼤気という海の中で一緒に泳ぐ練習場です。上田久美子
日時
2025年5月21日(水)~24日(土)
21日(水)8:00
22日(木)8:00/11:30
23日(金)8:00/11:30
24日(土)10:30
※上演時間:75分(予定)
※終演後、鑑賞者対象ミニワークショップあり
会場
日比谷公園(千代田区日比谷公園)
つつじ山〜三笠山
※集合場所等の詳細は、予約後のご案内をご参照ください。
一般参加者(出演)を募集します
「人間ではない小さな生き物」を演じる参加者(出演)を募集します。アーティストの川村美紀子とmiuが、簡単な身体のワークと音で皆さんをナビゲートしますので、演技経験や事前の稽古は必要ありません。出勤前の朝に、週末の朝に、いつもの公園のいつもと違う世界、いつものあなたのいつもと違う身体を探すのはいかがでしょうか。
詳細・申込はこちら:https://bench-p.com/news/2025art_hibiyapark_kokyu/
(応募締切:5月7日(水)23:59)
鑑賞予約
人数を限定し、参加者(鑑賞)を受け付けます。公園の中を自由に散策しながら、参加者(出演)が人間からそれ以外の生き物の役に変化していく様子を、こっそり観察したり、朝の空気を深呼吸したりして過ごしてください。終演後には、参加自由でミニワークショップをお楽しみいただけます。
鑑賞者には一つだけ大切なお願いがあります。出演者たちは人間から見えない小さい生き物を演じています。そのため、人間である観客の皆さんは、見ていることを出演者に気付かれないように「観て」いただきたいのです。茂みに潜む?ウォーキング中のふりをする?広げた新聞に穴を開けて覗く?出勤途中の会社員を装う?
お会いできるのを楽しみにしています。
参加費:無料|事前予約制
予約:Peatix(https://peatix.com/event/4375043)
クレジット
演出:上田久美子
音:miu
動きのナビゲーション:川村美紀子
テクニカル・ディレクション:遠藤豊(LUFTZUG)
サウンドエンジニアリング/オペレーション:中原楽(KARABINER inc.)、荒井勇人(株式会社 大城音響事務所)
メインビジュアル:小池アイ子
協力:城崎国際アートセンター(豊岡市)
Outside Eye:大崎晃伸
アーティストプロフィール
miu
島根県出身。国立音楽大学およびハーグ王立音楽院(オランダ)で、ソノロジー/電子音楽を学ぶ(国音は中退)。主な活動は舞台作品、音響パフォーマンス作品、インスタレーションの制作及び上演、展示。異なる文化間、異なる言語間、異なる時代間で生じるコミュニケーションのずれやエラー、誤解や転化、記憶の仮想化などの現象を自作品の重要なモチーフと捉えており、日常的に出会う「ある場所にいながら、その場所に属さない」人物や出来事の観察を制作の基軸としている。1998年にオランダに移住後、ロンドン、 ボーフム、ウルムを経て、2014年よりデュッセルドルフ在住。日本には「帰る」より「行く」という感覚の方が強い。
Website: milch-labor.com (ドイツ語のみ)
川村美紀子
1990年生まれ。「どこからかの惑星から落下してきたようなダンス界のアンファン・テリブル」(Dance New Air 2014/石井達朗氏)とも紹介されるその活動は、劇場にとどまらず屋外でのパフォーマンスなど多彩に展開。日本女子体育大学舞踊学専攻を卒業後、16ヶ国33都市を巡り20作以上の振付作品を発表。受賞歴に横浜ダンスコレクションEX2015 審査員賞・若手振付家のための在日フランス大使館賞、トヨタコレオグラフィーアワード2014 次代を担う振付家賞・オーディエンス賞など多数。自身のエッセイ執筆やオリジナルソング制作のほか、2024年には雑貨屋「川村産業」を立ち上げ、オーダーニットとアクセサリーを販売中。
上田久美子+miu 『呼吸にまつわるトレーニングプールvol.1 オフィーリアの川』実験室オープンデイ(2024/城崎国際アートセンター)にプロジェクト研究員として参加。
https://kawamuramikiko.com/




2024年城崎での「呼吸にまつわるトレーニングプール vol.1」の様子
(撮影:igaki photo studio 提供:城崎国際アートセンター)


PROJECT PNEUMA スケッチ:miu

「Hibiya Art Park 2025」
主催:東京都(花と光のムーブメント)
協力:公益財団法人東京都公園協会
第2期「“Play”ing Catch -集まり方の練習- 」
企画:武田知也(bench)、藤井さゆり(bench)
制作:藤井さゆり(bench)、小森あや(bench)、佐藤瞳
運営:株式会社ライツアパートメント
会場構成:永山祐子建築設計
デザイン:加藤賢策+LABORATORIES
広報事務局:エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社
協力:公益財団法人東京都公園協会