KUMIKO UEDA playwright - director

works

バイオーム

2022  リーディング公演

上田久美子が脚本を提供し、一色隆司が演出した朗読劇。本作の脚本は2022年の岸田邦夫戯曲賞に最終ノミネートされた。人間たちの感情の世界と、非・人間の存在と意識が重なり合う構造を描き出すことに挑戦した。

脚本:上田久美子
演出:一色隆司
会場:東京建物Brillia Hall
日時:2022年6月8日〜6月12日

このオリジナル戯曲は、日本の政治家一族の邸宅の庭を舞台とし、使い古しのメロドラマのような人間ドラマと、その登場人物たちを取り巻いている植物の意識を併置して提示しようとする試みで書いた。俳優たちはそれぞれ、人間の役と、植物の役の二役を演じた。伝統的な演劇では、観客の注意は人間の感情のドラマに集中するが、観客が一喜一憂している間にも、植物たちの全く違う時間と意識がそこには流れており、人間の時間は惑星の時間の中にあるのだということをどうやって劇場で感じさせられるか試そうとした。しかし、あくまで商業的な枠組みの中で依頼を受けて書いた作品のため、徹底してテーマを追及できず、このコンセプトを突き詰めるためには別の表現形式を試す必要があるという反省が残った。2024年夏のKIACのアーティストインレジデンスに内定している「Project Pneuma」は、このときのコンセプトを全く違う形式で試すもので、メディアアートと連結し、鑑賞者の思考や反応を作品の構成要素として、人間以外の生命体の意識世界を含むドラマを、文化や言語を超えて出現させようとするものである

出演:中村勘九郎、花總まり、古川雄大、野添義弘、安藤聖、成河、麻実れい/美術:杉山至/照明:中山奈美/音楽監督:標葉千晴/映像:松澤延拓/衣裳:富永美夏/ムーブメント:川村美紀子/作曲・編曲:Chikara Ricky Hazama、秩父英里/演出助手:吉中詩織/舞台監督:八木清市/企画・制作・主催:梅田芸術劇場/制作協力:NHKエンタープライズ

photo by 花井智子